生クリームを使わないローマ風カルボナーラ

卵はなぜかくも人を魅了するのか?
美食において、卵は切っても切れない存在となっています。
お菓子は勿論、美味しいソースにもなれば、
全世界で朝食に欠かせない料理がたくさん存在します。
僕が子供の頃、卵かけご飯は贅沢品でした。
父親が少し遅い朝食で、卵かけご飯を美味しそうに食べていたのを見ていると、
「そんな羨ましそうな顔するなよ」
と、たしなめられたことをよく覚えています。(笑)
その夜、父親に言われたのか、食卓には卵かけご飯がありました。
今でも忘れない、一番思い出に残る卵かけご飯でした。
そして、どうやら日本は卵の一人当たり消費量が、
世界で三本の指に入るそうです。
イタリア料理での卵の使い方
地元イタリアでは、フリッタータと言われるイタリア風のオムレツが有名です。
トラットリアなどでも、よくAntipasto Mist(前菜の盛り合わせ)などに使われている、
前菜の定番中の定番でもあります。
しかし、日本において有名なイタリアの卵料理と言えば、
何よりも「カルボナーラ」でしょう。
僕はカルボナーラにまつわる話をいくつか持っていますが、
それを今日はご紹介したいと思います。
シェフへの入り口だった「カルボナーラ」
初めての料理、カルボナーラ
僕が昔一緒に働いていたシェフは、
小学生の頃、料理人を目指す。
と決めていたそうです。
初めて作った料理がカルボナーラだったのですが、
一番最初に食べてくれたのは、おばあちゃんだったそうです。
「全然上手に出来なかった」
そうシェフは言っていましたが、
おばあちゃんは、「美味しいね」
と言って食べてくれたそうです。
その思い出が、美味しいものを作りたい。
という背景になっていると、そのシェフは言っていました。
リストランテ就職を決めたカルボナーラ
あるシェフは、就職先を決めたのは、
そこのカルボナーラを食べたからだ。
と言っていました。
あまりにも美味しくて、当時は衝撃的だったとのこと。
そのリストランテは今でも続く、
超老舗の、日本のリストランテ先駆者でもあります。
今ではカルボナーラをリストランテのメニューで見つけることは中々ありません。
時代の流れと共に(本場イタリアでもそうであるように)
トラットリアのメニューとなっていきました。
逆にリストランテで提供するカルボナーラは、
今では、基本を壊さない上でアレンジをし、
表現することも一つの手法であります。
カルボナーラの歴史は意外と浅い
1944年のローマ解放より、アメリカ軍が持ち込んだベーコンや卵が流通するようになった後にカルボナーラの名前が現れており、 アメリカ兵が親しむ卵、ベーコン、スパゲッティを使った料理としてイタリア人シェフが考えたとされる説がある
アメリカや、今でも日本のカルボナーラには、
生クリームが使われることがありますが、
本場ローマでは卵とグアンチャーレ、粗挽きの胡椒に、パスタ。
そのパスタも、ブガティーニという(太く、空心菜のように真ん中が空いたもの)
茹で時間がとても長いものを使用したり、一般的なスパゲッティだったり・・・
作る人それぞれの考え方があり、面白くしている一つの要因であったりもします。
ローマ風カルボナーラが食べたい
僕はもともとイタリア料理店を営んでおりましたが、
顧客の中には同業者の方も多くいらっしゃいました。
例えば、「何も具材は要らない、シンプルなトマトソースが食べたい」
どこのお店に行ってもそのオーダーをする。
と仰っていた某レストランオーナーもいましたし、
タイトルのように、生クリームを使わない、
本場ローマ風のカルボナーラが食べたい。
と仰る某レストランマネージャーもいました。
残念ながらグアンチャーレ(豚の頬肉の塩漬け)
は中々持ち合わせることが無かったので、
ベーコンで代用することになっていましたが、
ワインとお食事を楽しまれた後に、
残った赤ワインと締めで食べる、
ローマ風カルボナーラが好きなんだ。
そうおっしゃっていたのがとても印象的でした。
最も売れているパスタのソースは?
さらっとググってみただけの結果でしたが、
一般的にはやはり、ボロネーゼ(ミートソース)
や、たらこ・明太子などの和風、
そしてカルボナーラが多いようです。
トマトソースは辛くしたアラビアータや、
トマトクリームなどの合わせたソースになっている事が多いですね。
余談ですが、昔まかないでスタッフが作ってくれた、
「明太子トマトソース」が忘れられないくらい絶品でした。
残り物をとりあえず合わせただけと言っていましたが…(笑)
イタリアのパスタソースは多様で、
そもそもオリーブオイルそのものが、そのままソースになる。
という事もあって、オイルベース自体もソースという認識ですが、
他にも緑色のジェノベーゼや、真っ黒なイカスミ、
サフランを使った黄色いクリームソースなど、色彩が豊かです。
食卓の色彩が華やかだと、気分も上がりますね。
今日はゆるゆると食事とワインを楽しみながら、
締めにローマ風カルボナーラは如何ですか?